2020年11月25日に配信したメルマガの巻頭記事の内容です。菅首相が前日(11月24日)に国際公約として発表した「2050年カーボンニュートラル」宣言、これからの経済の‘脱炭素化産業モデルへの支援策’を受けて今後頻繁に見かけるであろう「コトバ」を解説しました。
この先、知っておかないとヤバイかも!
4つの「コトバ」をサクッと解説します。
●カーボンニュートラル
カーボン=炭素、ニュートラル=中立。要するにCo2が±0。
11/21,22日、テレビ会議形式で開催されたG20リヤド・サミットで菅首相が「2050年カーボン・ニュートラル」を国際公約しました。ところで最近、特に国際ニュースで耳にする「カーボンニュートラル」とはなんでしょう?
「カーボンニュートラル」とは社会や企業における生産活動において「やむをえず出てしまう二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になること」を指します。一般的に、企業や団体がカーボンニュートラルを目指す際、以下のようなことが実施されます。
(1)CO2排出量の削減
(2)再生可能エネルギーへの切り替え(化石燃料を使わない)
(3)廃棄物の削減
(4)輸送削減のため、より局所的な生産をサポートする
(5)輸送の電化
(6)森林再生などのプロジェクトへの資金提供によるカーボンオフセット
●アグリゲーター
アグリと言っても‘農業’とは関係ありません。
「アグリゲート(aggregate)」は「集める(動詞)」「集合(名詞)」といった意味の英単語。「アグリゲーター」は「集める人」という意味であり、電力・電気業界では「電気の需要と供給をとりまとめる業者」を意味します。「アグリゲーター」は余剰電力を集めて、電力会社に売ります。その報奨金の一部を、節電に協力してくれた企業等に還元するのがアグリゲーターの仕事です。このような余剰電力の売買取引を「ネガワット取引」と呼びます。
ちなみに「ネガワット」は英語のネガティブ(negative)と電力の単位であるワット(watt)が組み合わされた造語です。
●PPAモデル
PPAとは、売電事業者と需要者が、直接、電気の売買契約を結ぶこと
本来の意味でのPPAは、Power Purchase Agreementの略で、売電事業者と、需要者が直接、電気の売買契約を結ぶことを指しますが、日本では電力の供給のインフラや法制度の問題などで実現していません。そこで現れたのが「PPAモデル」と呼ばれる「太陽光発電の無償設置」というビジネスモデルです。
これは、例えばA社がB社の屋上に(B社が自社で使う電気を作る)太陽光発電設備を無償で設置し、発電した電気はB社が電気代(または使用料)をA社に支払って消費するというシステムです。メリットとして、B社は初期投資ゼロで、資産計上などの手間もなく、自家消費型太陽光発電設備を導入することができます。これによって、大手電力会社に再エネ賦課金を払う必要がなくなると同時に、100%太陽光で発電したエネルギーを使用しているという環境貢献アピールの材料とすることができます。長期契約になること、契約期間中はパネル交換や廃棄がB社独自の判断で出来ない、などのデメリットもありますが、契約終了後は自社に無償で譲渡されます。
●ESG投資
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)
ESG投資とは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス=企業統治)の3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先(企業等)を選別する方法のことです。
2006年に当時のアナン国連事務総長が世界の機関投資家に対して「責任投資原則(PRI)」という考えを提唱し、リーマンショック以降に世界の多くの投資機関がこの責任投資原則へ署名するようになりました。
2015年の国連サミットで、世界が様々な社会課題を解決して持続可能な発展を遂げられるように、新たな国際目標となる「SDGs」(持続可能な開発目標=Sustainable Development Goals)が採択されました。その結果、世界の国や企業等が様々な環境問題や社会問題などの解決に向けて莫大な資金を投資し始めています。世界の投資マネーはESG投資へ向かっており、ESG課題に取り組む企業は有望な投資先として期待されています。