2020年度
FIT制度改訂

2020年度FIT制度改訂

2020年度FIT制度改訂の行方

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2020年3月23日に、経済産業省から2020年度の売電価格(買取価格)が決定したという資料が公開されました。2020年度にはFIT制度が終了するというニュースがありましたが、太陽光発電はどの区分でもFIT制度が維持されました。ただし、発電区分によっては厳しい条件が付きます。投資案件として適した条件の低圧の太陽光発電は、もっとも強く制度変更の影響を受けます。今回の改訂で、新たに①自家使用したうえでの余剰売電であること②災害時に活用できる設備を設置することという「地域活用要件」を満たす、という条件が付くことになりました。この「地域活用要件」によって、全量売電はできなくなりました。

今年度中に再変更あるかも!? 2月25日、FIT法改正案が閣議決定されました。

閣議決定された内容は、『現状の固定価格買取制度から、入札制度で認定を受けた太陽光や風力の発電事業者が売り先を自ら探し、国が市場価格に上乗せして補助する仕組みの新制度』への変更です。つまり『FITからFIPへ』の制度切替が閣議決定されました。改正案は今国会(〜2020年6月17日)提出・採択を目指しています。

えっ!と思われた方も多いかもしれません。というのもFIT制度に関して、2月4日に経済産業省内の「調達価格等算定委員会」で委員長案として2020年度の新価格案が示され3月末までに正式決定されると発表されたばかりだからです。一方、『FITからFIPへ』の切替が閣議決定されたことは事実ですが正式な法案としての提出時期も、もちろん導入・開始時期も決まっていません。すなわち、示された委員長案で2020年度(4月〜)のFIT制度承認受付が始まることになると思われます。ただし、法案の国会通過または法案に示されている開始時期によっては、2020年度中に『FITからFIPへ』制度がいきなり切り替えられる可能性もあります。

1 全量売電はもうできない!? 今回の改正で「自家消費要件」が認定に向けてのもっとも高いハードルに!

2020年3月末までに正式決定→施行が予定されているFIT法改正案ですが、まずは、全ての区分でFIT(固定価格買取)制度が存続することになりました。毎年下がっていた固定売電単価は今回も下げられましたが、それ以上に前年度までの制度と大きく変わったのは「低圧の太陽光発電所は一部例外を除き、発電量の30%以上を自家消費すること」という条件が付けられました。(他にも条件が…)すなわち、全量売電できなくなりました。

2020年度の
太陽光発電(事業用)の支援内容
低圧:10kW〜50kW 未満 余剰電力のみ固定価格で買取る 13円/kW
高圧:50kW〜250kW 未満 発電全量を固定価格で買取る 12円/kW
高圧:250kW〜 競争入札で安い価格で事業者から買取る 入札制

経済産業省の発表した「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)改正案」をわかりやすくまとめると、これまで通り、発電した電力を全量売買できるのは、「50kW以上〜250kW未満=FIT12円」の高圧太陽光発電所のみとなりました。「10kW以上〜50kW未満」の低圧太陽光発電所は、農水省の条件をクリアした言わば農家向けのもの以外は、基本的に自分で30%以上を使用し余剰を売電できるというものになりました。事実上、改正案が施行されると ‘投資向け低圧太陽光発電所’ は今後は現れないと思われます。

2 FIT 認定案件の約半数が放置!? 今回の改正で「未稼働案件」が市場に出て、優良事業者の物件は奪い合いに!

今回の改正案では2017年以降の認定案件に対しても運転開始期限5年という項目が設けられました。政府は2030年度に再生可能エネルギーを主力電源にする方針で、7%を太陽光でカバーする目標をたてていますが、認定の約半数が未稼働ということを問題視しており、今後はセカンダリー(中古物件)を含めた ‘太陽光事業者の淘汰’ が始まり、太陽光発電に積極的な地域や継続的な事業経験のある事業者の開発物件に人気が集まると言われています。

太陽光は5割が稼働せずに
塩漬けとなっている
太陽光の未稼働・稼働済み状況のグラフ (注)各年3月末時点、出力10万kw以上が対象
(参考資料)資源エネルギー庁

2017年改正FIT法、さらに2018年改正で認定取得から3年以内の稼働開始ができない場合、買取期間の短縮や認定の失効などの措置が定められましたが、実は、経産省が2019年3月にFIT認定を取得した案件のうちおよそ半数が「未稼働」という実態が明らかにされました。未稼働案件が多い背景にはFIT制度導入時の高い買取価格の認定を受け、権利を持ったまま、パネル価格が下がるのを待つ間に開発後につなぐ送電網の空きがなくなったり、開発資金の出し手が減ったりし、開発できなくなるケースもみられました。事実、経産省は18年12月に、出力10kW以上では累計で約2070万キロワット分のFITの認定が失効したと公表しました。今国会で提出予定の新制度法案には「一定期間経過後も発電設備を稼働させない場合、FIT認定が自動的に失効する」項目が入れられる予定です。

3 売電収入が減る!? 今回の改正で「廃棄費用の積立」を売電金額から天引きされることに!

今回の改正案で、これまで ‘努力義務’ になっていた「廃棄費用の積立」が2022年7月までに完全に義務化されることになりました。2017年の改正法で事業計画認定申請時に廃棄費用の積み立て計画申請が義務付けられたのですが、今回、FIT認定されている全ての10kW以上の太陽光発電設備を対象に、売電終了前10年間「源泉徴収的な外部積立方式」で廃棄費用を積み立てることが義務化されました。

廃棄費用の外部積立イメージ
実際の売電額

積立ては、売電収入から差し引かれる形になる予定です。毎月の積立額は、月ごとの売電量に応じて決まる方針です。一定額が引き落とされるのではありません。また廃棄費用の積立金は、原則売電期間中に取り戻すことができません。かなりの影響があると思われる大きな決定ですが、今回の閣議決定では、外部積立の実施は決定しましたが実務上必要な詳細部分は未定です。

年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
FIT単価 40円/kW 36円/kW 32円/kW 29円/kW
27円/kW
24円/kW 21円/kW 18円/kW 14円/kW
積立金額 1.7万円/kW 1.5万円/kW 1.3万円/kW 1.2万円/kW 1.0万円/kW