●FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及のための重要な制度です。
政府は、2030年を見据えて再生可能エネルギーの普及計画を推進しているので、これからも太陽光発電や風力発電などの需要が減ることは考えづらいです。太陽光発電に限定して考えると、再生可能エネルギーによる将来性はもちろんですが、電力自由化が始まったことで今後はより電気の自由度が高くなると予測できます。そのため、利益が出ないほどの売電価格まで低下してしまうことは考えにくいです。しかし、より多くの利益を求めるのであれば、なるべく早く導入することをおすすめします。以下はFIT制度で買取が保証されている20年が経過した後について、考えられる選択肢をあげて解説します。
①電力会社に売電を継続する
FIT制度の期間が終了したとしても、これまで通り、電力会社に売電を継続することができます。電力会社によって買取価格は異なります(7〜12円程度)。全国で唯一、出力抑制が起こっている九州電力では売電価格7円となってしまいますが、逆に大手電力会社の中では唯一、太陽光発電設備自体の購入も検討している等、太陽光発電の先進地=九州らしいポテンシャルも大きいと言えます。FIT制度で設定される固定価格よりも大幅に売電価格が低下してしまいますが、通常太陽光発電は20年間のFIT制度中に初期費用やランニングコストを回収できるとされているので、利益は下がってしまうものの、収益を出すことは可能です。むしろ、不労所得としての‘年金収入’に近い色合いがいっそう強くなると考えられます。
②電力会社を乗り換えて売電する
2016年から開始された電力自由化により、電力会社を自分で選ぶことができるようになりました。電力自由化を機に電力事業に参入してきた新電力と呼ばれる電力会社は、電気代が安くなったりお得な特典がついてくるプランが多くあり、一般家庭でも企業も大手電力会社から新電力に乗り換えが進んでいます。新電力は電気を買うだけではなく、太陽光発電で発電した電気を売ることもできます。売電するという点では、FIT期間中と変わりませんが、新電力の方が高く電気を買い取ってくれるケースもあり、FIT終了後は新電力に売電する太陽光発電事業者が増えています。ただし、新電力はエリアや加入条件があるので、売電価格だけで決めてしまうのではなく、事前に条件を満たしているかどうかを必ず確認する必要があります。
③自家消費に移行する
自家消費と聞くと、住宅用太陽光発電所のイメージが強いかもしれませんが、住宅用だけではなく産業用太陽光発電でも自家消費が可能です。例えばスーパーマーケットやコンビニ、工場の電気を太陽光発電で発電した電気で補うことで電力会社から買う電気の量を抑えることができます。自家消費は、売電収入を得るという考え方ではなく、電気代を安くした分浮いたお金を利益とするという考え方です。2017年の資源エネルギー庁の発表によれば、電気料金の平均単価は家庭用で23.7円です。太陽光発電の発電コストはこの単価よりは確実に低く抑えられるため、電気代はかなり安くなります。ただ、自家消費には蓄電池の設置が必要となる場合もあるので、FIT期間中にFIT終了後のことも考えて資金を貯めておくことをおすすめします。