FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を目的とした取り組みのひとつです。
FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って発電した電気を一定期間、国が定める価格で電力会社に売電できることを定めた制度です。
地球温暖化や環境汚染がどんどん進み、世界各国で対策を求められていますが、FIT制度もこれらの問題への取り組みのひとつとして挙げられています。現在、石油や石炭などの有限資源を利用した発電方法が主力となっています。しかし、石油や石炭などは、エネルギーを生み出す際に二酸化炭素といった有害物質を発生します。一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電する際も有害物質を発しない、とてもクリーンなエネルギーです。FIT制度は、有害物質が地球温暖化の原因となっていることを踏まえて、石油や石炭などを利用した発電方法から、再生可能エネルギーを利用した発電方法にシフトしていくことを目的として始まりました。
●FIT制度の仕組み
FIT制度が成り立っているのは、『再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)』があるからです。再エネ賦課金は、電気代を支払うすべての人から毎月の電気代に上乗せして集めています。個人であれ法人であれ、再エネ賦課金を支払う義務があり、再エネ賦課金は1kWhあたりの単価で決められています。2020年度の再エネ賦課金は、1kWhあたり2.98円です。再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用として使用されています。
出典:資源エネルギー庁
●再エネ賦課金の負担が増えてきている
再エネ賦課金は、現在1kWhあたり2.95円ですが、再エネ賦課金の徴収が始まった2014年は1kWhあたり0.22円でした。つまり、開始当初に比べて国民の負担が13倍に増えてしまったということです。
再エネ賦課金が値上がりしている理由には、再生可能エネルギーを利用した発電による電気の買取量が増えていることにあります。
環境省によると、2030年頃までは再エネ賦課金の値上がりは続くと予想されています。(参考:環境省 再生可能エネルギーの導入に伴う効果・影響分析)
●2020年売電価格はいくら?【太陽光発電のFIT価格の推移】
年 | 住宅用太陽光発電 | 産業用太陽光発電 |
2012 | 42円 | 40円 |
2013 | 38円 | 36円 |
2014 | 37円 | 32円 |
2015 | 33円(出力抑制なし) 35円(出力抑制あり) | 29円 |
2016 | 31円(出力抑制なし) 33円(出力抑制あり) | 24円 |
2017 | 28円(出力抑制なし) 30円(出力抑制あり) | 21円 |
2018 | 26円(出力抑制なし) 28円(出力抑制あり) | 18円 |
2019 | 24円(出力抑制なし) 26円(出力抑制あり) | 14円 |
2020 | 21円(出力抑制関係なし) | 13円(10kW以上50kW未満) 12円(50kW以上250kW未満) |
FIT制度は表の通り年々低下しています。
FIT制度が始まった2012年当初に比べ、2020年度の売電価格は住宅用太陽光発電は半分、産業用太陽光発電は約1/3以下です。となると気になるのは、2020年度の売電価格13円(10kW以上50kW未満産業用太陽光発電)でも、初期費用が回収できて利益を出すことができるのかどうかということだと思います。結論から言えば、2020年の売電価格であれば、元をとって利益を出すことは十分できます。とはいえ、過去の売電価格よりも下がる分、利益額が少なくなってしまうのは残念ながら免れません。FIT制度はそもそも2019年以降は終了すると考えられていました。2020年度は売電価格が下がるものの継続されることが決まりましたが、来年度以降はどうなるかわかりません。
新規太陽光発電の購入を検討しているのなら、早めに事業者に相談することをおすすめします。